日本を襲うPM2.5が脳を萎縮させる!? 認知機能の低下につながる可能性が!
無症候性脳卒中リスクも約5割上昇
また、PM2.5が2μg/cm3増えると、無症候性脳卒中発症のリスクも46%高くなった。この無症候性脳卒中とは、脳スキャンでは検知されても通常は症状が見られない脳卒中を指し、認知機能の低下や認知症と関連があるといわれている。
研究では、より大気汚染レベルの高い(PM2.5の濃度が高い)地域の住人は、少ない地域の住人よりも脳容積が小さく、無症候性脳卒中のリスクが高いことも明らかになった。
大気汚染と子供の脳の関連性を調べた研究はこれまでにもあったが、高齢者を対象に大気汚染、脳容積、そして無症候性脳卒中リスク間の関連性を調査した研究は、これが最初のものだ。大気汚染が人々の脳をどのように変化させるかは不明だが、大気汚染が炎症を増加させるのではないかと推測されている。同研究によると、過去の調査で脳容積の減少と炎症マーカーに関連があることがわかっているという。
ウィルカー氏はこの研究結果に関して、「大気汚染と脳卒中や認知機能障害のような深刻な脳疾患との関連性を理解するのに、非常に重要なものになります」と述べている。
なお、日本におけるPM2.5など大気汚染物質濃度の測定データは、環境省の大気汚染物質広域監視システム<そらまめ君>や、各都道府県のホームページで公開されている。