月別アーカイブ: 2016年4月

外環連合ニュース

外環工事で大きな地下水位低下

真間川周辺6.7メートル、京葉道周辺8~9メートル

外環道路路線沿線で急激な地下水位の低下が進んでいます。これは昨年12月に県で開催された「東京外かく環状道路連絡協議会・環境保全部会」で事業者(国、東日本高速道路会社)が外環計画沿道地域に90か所程度ある地下水観測井戸の水位について報告したデータで明らかになったものです。これによると工事着手前と比べ、真間川周辺で最大6.7m、京葉ジャンクション周辺で8~9mと極めて大きな地下水位の低下がみられ、その他の多くの観測井戸でも3~4mの地下水位低下がみられています。

国分、須和田地区の井戸20か所で井戸枯れ、工事の影響と認め、事業者側が緊急対応

地下水位の低下で周辺の井戸で井戸枯れの影響が出ていることも明らかになっています。今年に入って市川市が東日本高速道路会社から受けた報告では国分地区、須和田地区でそれぞれ10か所、計20か所程度の井戸で井戸枯れが生じ、事業者側もこれらが外環工事の影響であることを認め、暫定的な水道管を引く緊急対応をしています。 地下水位の低下傾向は2012年頃から顕著になり、現在、それが強まる傾向にあります。今後もこの状況が続けば地盤沈下など地上部へ影響も懸念されます。市川市、松戸市の外環と似た構造の名古屋環状道路では地盤沈下による多数の建物被害が生じ、国会でも問題になっています。

工事前説明会では「地下水低下は起きない工法」と説明  現状は「注意深く監視する」だけで対策なし

外環計画ルートにあたる市川市の中心部は「国分谷」と呼ばれる氷河期に造られた大きな谷に堆積物が積もった軟弱地盤であり、外環の工事にあたっては大量の地下水を排水しながら進めなければならないことが分かっていました。工事前の説明会では地下水低下に伴う井戸枯れや、地盤沈下を心配する住民の声がでました。しかし事業者は「連続隔壁で工事区域への周囲からの地下水侵入を止めたうえ、工事区域内でくみ上げた地下水は、周辺に設ける復水井戸を通して地中にもどしていくから、地下水の低下は起こらない」と強弁していました。今、事業者の対応は「注意深く監視をつづける」だけで、急激な地下水低下に有効な対策がない状態です。

幹線道路沿いの騒音環境基準  「住民に窓を閉めた生活を強いることに正当性ない」

国道2号線判決で広島高裁が断じる

2014年1月、広島高裁が国道2号線の騒音問題に関し、住民の受忍限度を「昼間屋外で65デシベル、夜間屋内で40デシベル」とし、これを超える地域の住民や勤務者に対し、賠償するよう国に命じました。この裁判で国は「幹線道路沿道地域の騒音の環境基準は屋外で昼間70デシベル、夜間65デシベルであり、この範囲であれば住民に健康被害はでない」と主張していました。広島高裁はこの環境基準について「幹線道路住民が窓を閉めて生活することを前提に決められたもので、国が住民に窓を閉めて生活を強いることには正当性はない」と断じています。

外環での国、東日本高速道路の騒音予測値は 菅野蓋かけ出入り口周辺、国道14号交差点付近などで

昼67デシベル、夜64デシベルと広島高裁判決の受忍限度を超える

国と東日本高速道路会社は外環の騒音予測値で菅野の蓋かけ出入り口周辺や国道14号交差点周辺の値として昼間屋外で67~68デシベルとしています。これは国道2号線判決で示された受忍限度を超えています。また同地域の夜間屋外での騒音を64デシベルなどと予測していますが、これは通常の民家では室内での値が40デシベルを確実に超えるレベルです。こうした値でも国と東日本高速道路会社が「環境は保全される」と主張する根拠は「国が決めた幹線道路沿いの環境基準内におさまっている」という、国道2号線裁判の場合の主張と同じです。「住民に窓を閉めて生活することを強いるような環境基準に正当性はない」という判決を広島高裁は既に下しています。

深刻な騒音被害がもたらされる道路の供用開始は不当  

「外環の供用開始差し止め」の仮処分申し立てに向け準備

広島高裁判決に従えば、国と東日本高速道路会社が行った騒音予測値は、外環道路が道路周辺の住民や道路周辺の学校に通っている学童、職場の勤務者などに深刻な健康被害をもたらすと判断すべき値です。私達はこのような道路の供用開始は許されないと考えます。外環道路の環境問題についは千葉県公害審査会が調停案を示し、話し合いによる円満な解決を勧告したにもかかわらず、国と東日本高速道路会社がこれを拒否した事実もあります。私達はこうした過去の経緯も踏まえ、裁判所に外環道路の供用差し止めの仮処分を申し立てる方針を固め、準備を進めることにしました。