月別アーカイブ: 2016年9月

バードウォッチングのお知らせ

矢切地区(集合場所:下矢切 「野菊の墓」文学碑前)

日時:平成28年11月19日(土)  平成29年1月28日(土)  平成29年3月4日(土)

いずれも10時~12時  雨天中止

北国分地区(集合場所:小塚山あずまや)

日時:平成28年11月27日(日)  平成29年2月12日(日)  平成29年4月29日(祝)

いずれも10時~12時  雨天中止

「東京外環道」の悪影響

建設中の「東京外環道」は本当に必要なのか?                                地下水脈に悪影響、大気汚染が1か所に集中する可能性も

アベノミクスのもとで「環境破壊」進む?「東京外環道」が悪影響の可能性   SPA転載

公共事業予算が増え、全国各地で費用対効果の怪しい事業が進行している。そんな「アベノミクス」のもとで進む、環境破壊をリポートした! 安倍さん、それって必要ですか?

◆首都圏の地下水脈に悪影響、大気汚染が1か所に集中!?

東京外環道は、中央環状線や圏央道とならび首都圏を環状に結ぶ3つの高速道路「三環状」の一つだ。完成時の総延長は85kmで、都内を結ぶ約16kmの区間が’12年9月に着工。東京五輪・パラリンピックが開催される’20年の完成を目指して工事が急がれている。総工費は約1兆3000億円だ。

外環道が計画決定されたのは’66年。着工まで50年近くを要したのは、沿線で住民による猛烈な反対運動が起きたためだ。当初、外環道は地上に高架を設ける方式で計画された。しかし周辺の環境破壊や住環境の悪化などが予想され、10万筆以上の反対署名が集まるなどして’70年に計画が一度凍結。’07年に正式にトンネル方式へ計画変更された。

この計画に懸念を示しているのが、外環道の建設に反対する「外環ネット」の大塚康高氏。

「建設予定地は首都圏でも地下水が豊富な地域。トンネルができれば地下水脈を東西に分断する『遮水壁』となり、地盤沈下や井戸枯れが起きることも考えられます」

国交省は、地下水の多い場所でトンネルの真下を横切るようにパイプを埋め込み、流れを迂回させる「地下水流動保全工法」を採用するという。

「その工法を用いても、パイプが土砂で埋まってうまく地下水が流れなくなる可能性があります。環状八号線の井荻トンネルでも同じ工法が導入されましたが、トンネルで遮られた地下水脈の下流では最大十数センチの地盤沈下や井戸枯れが生じました」(大塚氏)

事業者はこれまで住民に対して「トンネル工事による地上への影響は生じない」と説明してきた。ところが’14年4月以降、トンネル工事沿線周辺の約2万戸を対象に「家屋調査」を開始。

「調査員が一軒ずつ訪ね、家屋の傾きや壁のひび割れ等を調べています。影響が生じないなら、なぜその必要があるのでしょうか」(同)

地下水だけではない。排気がもたらす大気汚染の心配もある。

「山手通りの下を走る中央環状線は、延長11kmの間に排気塔が14本設けられ、窒素酸化物なども除去する仕組みです。ところが外環道は16kmの間に排気塔が5本しか計画されていません」と、「市民による外環道路問題連絡会・三鷹」の小笠原俊文氏は訴える。

「排ガスが5本の排気塔に集中して放出されるため、1か所あたりの汚染物質濃度が非常に高くなる。事業者は排気を地上100mに吹き上げることで薄められると考えているようですが、冬の寒い日などには直下の地域に汚染物質が下降し、高濃度で滞留する可能性が高いのです。そうなれば呼吸器系の健康被害が心配です。そもそも、国の環境影響評価で使用された大気モデルによるシミュレーションは米国由来の古いもので、特殊な条件しか想定しておらず、現実に即していません」

民主党政権から安倍政権に代わった後の’13年、東京五輪の開催が決定。現在、関越道、中央道、東名道と交差する部分でジャンクションの建設工事が進んでいる。

同会の田代雄倬氏は次のように指摘する。

「行政は国内で初めてパブリック・インボルブメント(PI=住民参加)方式も導入しました。しかし結局、計画の見直しや建設にともなう環境影響などを指摘する住民の意見は反映されていません。海外でのPIは住民にも権限を持たせますが、日本では何の権限もない。形だけは住民の意見を聞くものの、実際には『建設ありき』で進んでいるのです」

国や事業者は外環道の必要性として「渋滞解消」「CO2の排出削減」「災害時の迂回道路の確保」などを挙げている。田代氏と小笠原氏は「時間がたつにつれて、説明がコロコロと変わった。とにかく造るとの結論があって、後から理由をつけ足しているのでは」と冷ややかだ。

大塚氏は交通量データをもとに、「外環道は不要」と訴えている。

「外環道と並行する環状八号線の交通量は’99~’10年の間で確実に減っています。また関東地方、および全国の交通量も’00年前後を境に減少基調にあります。ところがGDP(国内総生産)は伸び続けている。交通量と経済成長はイコールではありません。自動車に過剰に依存しなくても、経済を回していくことは十分に可能です」

取材・文・撮影/まさのあつこ 横田 一 斉藤円華
― アベノミクスの[環境破壊]が止まらない! ―