カテゴリー別アーカイブ: PM2.5

PM2.5、コロナ促進か=仕組みの一端解明―京大

PM2.5など大気中の粒子状物質が新型コロナウイルス感染症の発症や重症化を促す可能性があると、京都大の研究チームが発表した。論文は4日までに米科学誌に掲載された。PM2.5による大気汚染が深刻な地域で新型コロナの感染者や死者が多いと報告されており、マウスの実験で仕組みの一端を解明した。

新型コロナウイルスは表面にあるスパイクたんぱく質が、ヒトなどの細胞の受容体たんぱく質「ACE2」と結合し、侵入を促すたんぱく質「TMPRSS2」の働きで細胞内に入り込む。

研究チームは、日本の大気から集めた大量のPM2.5などをマウス3匹に吸い込ませ、肺の組織を調べた。その結果、酸素を取り込む肺胞の細胞でACE2とTMPRSS2が増加したことが分かり、PM2.5などが細胞への侵入口を広げる役割を果たしている可能性が示された。

京大の高野裕久教授は「今後、ヒトの細胞で研究を進める」と話しており、発症や重症化を抑制する薬剤も探るという。

PM2.5低減、国より厳しい独自目標設定へ 東京都

2020.10.10   朝日新聞社

東京都は、大気汚染を引き起こす微小粒子状物質「PM2・5」の空気中濃度の低減に向け、国の基準よりも厳しい独自の数値目標を設ける方針を固めた。国の基準値は年平均で1立方メートルあたり15マイクログラム以下だが、都は80ある全測定局の年平均濃度を2030年度までに10マイクログラム以下とすることを目指すという。

PM2・5は空気を漂う小さな粒子で、車の排ガスや工場の排煙などが発生源とされる。肺の奥深くまで入り、ぜんそくや心臓病などへの悪影響が報告されている。

新型コロナウイルスの感染拡大による経済活動の停滞に伴って、PM2・5の排出は低減傾向にあるとみられる。都の関係者によると、30年度までの数値目標を都が独自に設定することで、大気環境の改善を推し進める狙いがあるという。

パレード終わりPM2.5上昇、青空消えた北京

読売新聞

パレード終わりPM2・5上昇、青空消えた北京

【北京=五十嵐文】軍事パレードの準備のために中国当局が北京などで続けてきた工場の操業停止や車の走行規制が4日、解除された。北京市当局によると、前日午前の微小粒子状物質(PM2・5)の濃度は大気1立方メートル当たり10マイクロ・グラムだったが、4日午前は同71マイクロ・グラム前後に上昇した。パレード当日は抜けるような青空だったが、この日は雨模様となり、ネット上では「こんなに早く青空が消えるなんて」と嘆きの書き込みが目立った。

PM2.5が脳を萎縮させる HEALTH PRESS転載

日本を襲うPM2.5が脳を萎縮させる!? 認知機能の低下につながる可能性が!

地球温暖化の原因であり、私たちの健康にも悪影響を及ぼす大気汚染。近年では、大気汚染物質の微小粒子PM2.5が、中国から大量に飛来する可能性があると報じられ、日本でも大きな問題になっている。今年4月、米国心臓協会学術誌 “STROKE” に掲載された研究論文で、PM2.5で汚染された空気を毎日吸い込むと、脳に変化が生じ、認知機能障害をもたらす可能性があることが示された。調査対象者は、米国ニューイングランド地方に住む60歳以上の943人の健康な成人。MRI(磁気共鳴映像法)で対象者の脳の構造を調べ、その画像と居住地域の大気汚染レベルとの関係を調査した。

無症候性脳卒中リスクも約5割上昇

 この研究では、大気中のPM2.5が1立方メートルあたり2マイクログラム(μg/m3)増えると、脳容積が0.32%減少することが判明した。2μg/m3の増加は、ニューイングランドやニューヨークの大都市圏で普通に見られる範囲である。粒径が2.5µm(1µmは1mm の1000分の 1)以下という非常に小さなPM2.5は、炭素、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどを成分とし、肺の奥まで入り込みやすく、呼吸器系や循環器系などに影響を与えることが懸念されている。発生源は、ばい煙や粉塵を発生させる工場など複数考えられるが、最も一般的なのは排出ガスを出す自動車である。  この論文の研究著者で、ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センター心血管疫学研究ユニットの研究者、エリサ・H・ウィルカー氏は、「この脳容積の変化は、脳の老化約1年分に相当するものです」と説明。一般的に脳容積の減少の原因は、加齢に伴うニューロンの喪失であるという。

また、PM2.5が2μg/cm3増えると、無症候性脳卒中発症のリスクも46%高くなった。この無症候性脳卒中とは、脳スキャンでは検知されても通常は症状が見られない脳卒中を指し、認知機能の低下や認知症と関連があるといわれている。

研究では、より大気汚染レベルの高い(PM2.5の濃度が高い)地域の住人は、少ない地域の住人よりも脳容積が小さく、無症候性脳卒中のリスクが高いことも明らかになった。

大気汚染と子供の脳の関連性を調べた研究はこれまでにもあったが、高齢者を対象に大気汚染、脳容積、そして無症候性脳卒中リスク間の関連性を調査した研究は、これが最初のものだ。大気汚染が人々の脳をどのように変化させるかは不明だが、大気汚染が炎症を増加させるのではないかと推測されている。同研究によると、過去の調査で脳容積の減少と炎症マーカーに関連があることがわかっているという。

ウィルカー氏はこの研究結果に関して、「大気汚染と脳卒中や認知機能障害のような深刻な脳疾患との関連性を理解するのに、非常に重要なものになります」と述べている。

なお、日本におけるPM2.5など大気汚染物質濃度の測定データは、環境省の大気汚染物質広域監視システム<そらまめ君>や、各都道府県のホームページで公開されている。

PM2.5が人体に与える影響とは?(ビジネスオンライン転載)

春は花粉も気になりますが、実は他にも大気中にさまざまな物質が飛散する時期です。中でも気になるのが、中国から飛んでくるPM2.5。天気予報などでもその飛散状況や危険性が発表されるなど話題になります。

そもそも、PM2.5とは何なのかちゃんと知っていますか? 今回はPM2.5の正体と、それが人体に与えるさまざまな影響に迫ります。

PM2.5の正体

 PM2.5は、直径2.5マイクロメートル以下の非常に小さな粒子をさします。PMは「Particulate Matter(粒子状物質)」の略。スギ花粉が30~40マイクロメートルですから、花粉と比較しても非常に小さな粒子であることが分かります。成分は、炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどです。

PM2.5には、一次生成粒子と二次生成粒子の2種類があります。一次生成粒子はボイラーや焼却場でものを燃やしたときに直接排出されます。一方、二次生成粒子は火力発電所や工場、自動車などから排出された硫黄酸化物や窒素酸化物などが、大気中の光やオゾンと反応して生成されます。

環境破壊や大気汚染との関連性が高いイメージがあるPM2.5ですが、一次生成粒子は家庭内でも発生することがあります。たばこや調理などでも発生し、とくにたばこの煙には多くの有害な微小粒子が含まれているので注意が必要です。

中国では国を上げた大問題に

 PM2.5は、主に中国で深刻な問題となっています。中国では2013年に国務院が「大気汚染防止行動計画についての通知」を発表し、2017年までに主要な都市の大気中のPM2.5濃度を10%以上低下させる目標を設定しました。そのための環境保護法の改正や高汚染燃料の使用禁止など、さまざまな政策が実施されています。
日本では2013年、一時的にPM2.5の濃度が非常に高くなりました。これは、中国から入ってきたものと、日本国内での大気汚染との両方の要因が重なった結果だと考えられています。 現在は、工場や事業場などばい煙発生施設に対する規制を行ったり、環境に対する取り組みを強化した結果、日本国内でのPM2.5の濃度は徐々に減少傾向にあります。しかし、この濃度は季節によって変動し、とくに3月から5月にかけては濃度が上昇します。また、この時期は大気汚染物質が地表付近に溜まりやすくなるほか、東アジアからの西風に乗って中国からも飛散しやすくなるため、日本国内でのPM2.5の濃度が高くなるのです。

人体への影響

PM2.5は非常に小さな粒子です。そのため、肺の奥深くまで入りこみやすく、ぜん息や気管支炎をはじめ、肺や心臓の疾患の原因となります。さらに、肺がん・循環器系疾患による死亡リスクが高まることも知られています。

高齢者や小さな子供、肺や心臓に既往症のある人はとくに注意が必要です。細かい粒子を防ぐマスクをしたり空気清浄機を使うなど、PM2.5を体内に取り込まないための対策をすると良いでしょう。

中国も日本も、国をあげて対策に取り組んでいるとはいえ、PM2.5問題はまだまだ深刻な状況です。とくに、春先は西風に乗って黄砂も飛んでくるため、呼吸器系を守る対策は必須といえます。正しい知識を得て、しっかりと健康を維持しましょう。

PM2.5と煙草の関係

意外と知られていないPM2.5とタバコの関係(転載)

PM2.5は粒子状物質(Particulate Matter)で、直径が2.5ミクロン以下の非常に小さな粒子を意味します。
 呼吸で肺の奥まで浸入し、PM2.5の濃度が高い地域の住民の死亡率が高くなるので注目されています。具体的には、心臓病、気管支喘息、肺がんなどが増加します。
 PM2.5が 10 μg/ m³を超えると、全死亡リスクが直線的に増加(10μg/m³あ たり 10~15%増)することが研究で判明しています。(1) 
 上記研究結果などから、世界保健機関は規制目標とすべき大気の PM2.5を「1年平均値で10 μg/m3未満、1日平均値で 25 μg/m3未満」とすることを勧告しました。日本の環境省のPM2.5に関する基準は「1年平均値が15μg/m3以下であり、かつ、1日平均値が35μg/m3以下」であることとしています。

 中国北京の環境汚染で有名になりました。PM2.5が400-900μg/m3まで達することで、全世界を驚かしました。
 日本での測定が始まっています。一時的に環境基準値(35μg/m3) を超えることが起こっており、その度にマスコミに取り上げられるようになってきました。

 しかし、ここで忘れてはいけないのは、タバコの燃焼によって発生する煙もPM2.5であることです。
 禁煙でない飲食店のPM2.5は、200-800μg/m³に 達することもあります。(2)

 北京は問題ですが、日本では、中国からのPM2.5 よりは受動喫煙の方がはるかに問題であると言えます。

<参考>
(1) Dockery DW et al. An Association between Air Pollution and Mortality in Six U.S. Cities. N Engl J Med. 1993;329(24):1753-9.
(2) 「受動喫煙の防止を進めるための効果的な行政施策のあり方に関する研究 」http://www.tobacco-control.jp/ – PM2.5 の解説から、動画、写真まで専門家のサイトです。ぜひ、ご覧下さい。

PM2.5 関心空間より
http://www.kanshin.com/keyword/11865109

禁煙推進学術ネットワーク(委員長、藤原久義・兵庫県立尼崎病院長)によると、福岡市の喫煙可能な喫茶店での測定結果は常に1立方メートルあたり300マイクログラムを超え、平均371マイクログラム。横浜市のカフェの喫煙席も200~700マイクログラムだった。日本の1日平均の環境基準である35マイクログラムを大きく上回り、中国の屋外と同様の濃度を記録した。