月別アーカイブ: 2015年2月

通信6号

  • 2014年6月度 NO2測定結果の概要

定例測定日の6月5日(木)~6日(金)は梅雨入りと重なり、未測定、紛失、落下等が通常より多くなりましたが、多くの測定協力者のご努力により問題なく6月度結果が得られました。

測定数

市川市内(隣接する松戸市の一部、船橋市本中山を含む):366件

うち有効測定数:356件 紛失:8件 落下:1件 異常値:1件(回収の大幅遅れ)

市外  松戸市関さんの森:100件、船橋市海神:4件、千葉市&大網白里町:15件

埼玉県松伏町:2件  うち紛失が関さんの森1件、松伏町1件で他は有効でした。

市川市内測定結果

本年6月度の市内全域と住宅地、沿道地別の平均濃度と測定数を、改良型を用いた過去7年間の6月度の値と共に下表に示します。濃度の変化を図示すると図1の通りとなります。

表1 12月度の市内全域と住宅地点、沿道地点のNO2平均濃度(ppm)と測定数の推移

年度 2007年 2008年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年 2014年
全地点 平均濃度 0.032 0.032 0.026 0.023 0.033 0.021 0.016 0.018
測定数 351 378 356 377 336 378 377 356
住宅地点 平均濃度 0.029 0.027 0.021 0.017 0.028 0.017 0.012 0.014
測定数 283 282 246 247 229 252 249 241
沿道地点 平均濃度 0.045 0.047 0037 0.035 0.045 0.029 0.024 0.026
測定数 68 96 110 130 107 126 128 115

図1 市川市内の6月度NO2濃度の年度推移

2014 市川市内の6月度NO2濃度の年度推移

市内全般のNO2濃度は、悪天候の影響もあり、これまでの最低であった昨年度に次ぐ低濃度でした。それではこの時期の濃度を1日間ではなく、もっと長時間で見るとどうでしょうか。

図2 市川市大気汚染測定局の測定値に見る6月度 NO2濃度(ppm)の 23年間の変化

(市川市環境保全課提供の測定データをもとに作成)

各年度とも6月度定例測定日を挟む24日間の平均濃度(ppm)                                                       一般局:本八幡局と新田局の平均値   自排局:市川局と行徳局の平均値

図2 23年間の変化

 これは当会が測定を始めた1992年からの、6月度定例測定日を挟む24日間の、市川市測定局におけるNO2平均濃度を年度毎に示したグラフです。各点は24日間という長期間の平均濃度なので、その時期のNO2濃度をほぼ正しく表していると考えられます。住宅地(一般局)も沿道地(自排局)も、明らかな低下傾向が見られますが、今年度は前年度より濃度が増加し、2012年度と同レベルとなっています。今後に注視しましょう。

市川市地域別のNO2濃度

市川市を地理的にほぼ北から5地域に分けて、各地域のNO2濃度を見てみましょう。

表2に5地域ごとの住宅地点と沿道地点の平均濃度と測定数を示します。

表2 2014年6月度市内地域別NO2平均濃度(ppm)と測定地点数

市全域 北西部 北東部 中北部 中南部 南部
全域 平均濃度 0.018 0.016 0.011 0.019 0.026 0.020
地点数

(割合)

356

(100%)

150

(42%)

38

(11%)

79

(22%)

53

(15%)

36

(10%)

住宅地 平均濃度 0.014 0.012 0.011 0.016 0.021 0.018
地点数 241 100 31 52 30 27
沿道地 平均濃度 0.026 0.026 0.012 0.025 0.032 0.026
地点数 115 50 7 27 23 9

図3はこのうちの各地域の平均濃度を棒グラフで示したもので、2012年、13年の6月度も参考として載せました。

図3 2014年6月度市川市内地域別NO2濃度 (2012年と13年6月度も併記)

2014 6月度 地域別 濃度

北西部(北国分、中国分、国府台、国分、曽谷等)は、外環道路国道部分が松戸街道に流入するため、沿道部は高くなっていますが、車線が少ないため全体の濃度は抑えられています。北東部(大町、大野、東大野、下貝塚、柏井等)は、大型道路は旧市松有料道(松戸原木線)が一部を通るのみのため、常に最も低濃度となっています。中北部(JR線以北で真間、須和田、宮久保、北方以南)は国道14号線の影響で北西部と同程度の汚染度となっています。一方中南部(JR線以南、江戸川以北)は、産業道路、京葉道路が走り、今回は住宅地、沿道地ともは最も高濃度の地域となりました。江戸川以南の南部は、大型車両の走行台数が最も多い湾岸道路の影響を受けますが、今回は中南部より低濃度でした。

 9月15日開催PM2.5シンポジウムの報告

副題“深刻なPM2.5汚染 発生源は私たちの身近に“として、東京あおぞら連絡会等の主催で日本教育会館(神保町)で開かれたシンポジウムの概要を報告します。

依然 深刻なPM2.5汚染とその発生源 — 伊瀬洋昭(都立産業技術研究センター)

米国に12年遅れで1997年に日本でPM2.5(粒径がほぼ2.5μm以下の粒子)の環境基準が作られたが、汚染は依然深刻で、2013年度の環境基準達成率は一般局6.7%、自排局は0%。大陸からの越境汚染は、大陸に近い地域では影響を受ける時もあるが、東京など都会では都市汚染が主で、影響の可能性があるという程度。都内でのPM2.5発生源は自動車が1/4、船舶1/5、建設等特殊車が1/8で、自動車排ガス規制の更なる強化と共に、船舶や特殊車の排ガス規制が重要。

② 万病のもと!PM2.5の健康影響 — 嵯峨井勝(つくば健康生活研究所)

病気の90%以上は活性酸素によって起る。PM2.5やディーゼル排気粒子(DEP)は呼吸器を介して血液中に入って全身を巡り、化学反応や免疫細胞の働きで多量の活性酸素を作る。呼吸器や循環器の病気の他、DEPは認知症や男性の不妊を引き起こすとのデータも出ていて、WHO(世界保健機構)もディーゼル排気ガスを最強の発がん物質と認定した。近年は超微細粒子(ナノ粒子、0.1μm以下の粒子)が増えており、最も有害で規制が必要。NO2などの大気汚染は改善されてきているが、児童の喘息患者数は増え続けている。PM2.5やナノ粒子への監視が必要。

③ PM2.5対策と健康被害 — 西村隆雄(東京大気汚染公害裁判弁護団)

東京大気汚染裁判で原告の喘息患者らは、PM2.5の環境基準制定と東京都における成人喘息患者救済制度の復活という2つのものを勝ち取った。救済制度は国、都、自動車メーカ、首都高速の4社の負担で発足したが、発足から5年後の見直しで壊されようとしている。都のみの負担で継続し、新規患者認定の打ち切り、子供患者の18歳時点での助成打ち切り、認定患者の負担増等の議案が9月都議会で審議されている。現在国に対しても制度の継続を求めているが難航している。

☆ その他のニュース・お知らせ

○ 市川市 市民活動1%支援制度の届出結果

7月22日 市川市からの通知で、当会への届出人数は96人、金額は90,630円でした。昨年度は64人で51,818円ですから人数、金額とも大幅な増加です。皆さまご支援どうも有難うございました。実際の受取金額は、申し出額の60,000円となります。皆様のご期待に応えるよう空気監視活動をしっかりやってゆきます。これからもよろしくお願い致します。

○ 「いちかわエコギャラリー2014」への出展について

市川の環境活動団体を紹介する上記催しが行われます。今年は「アイリンクタウンいちかわ」45階展望施設で、11月22日(土)から11月28日(金)までの1週間、午前9時から午後10時まで展示されます。当会も参加を予定していますので覗いてみてください。

○ 12月度NO2測定のお知らせ

まだ少し早いのですが、下記の通り実施しますのでよろしくお願いいたします。

カプセル作り:11月14日(金)9時30分~17時 西部公民館工芸室

測  定  :12月4日(木)16時~5日(金)16時(時間が早まります)

カプセル分析:12月14日(日)9時30分~17時 西部公民館工芸室

あとがき

市川市内も大型貨物車の走行数が増えています。これらの車は全てディーゼルエンジンです。最近のディーゼル車は燃料の高圧噴射によって不完全燃焼が減り、確かに黒煙は無くなりましたが、超微細粒子(粒径0.1μm以下のナノ粒子)は数万倍に増えたそうです。浮遊粒子は小さいものほど吸い込んだ時の毒性は強くなります。ディーゼル車は浮遊粒子数の90%以上はこのナノ粒子です。また最近は、エレクトロニクスや医薬品の分野でナノ粒子が使われ、これに由来する浮遊ナノ粒子も増えています。NO2などの大気汚染物質が減っているなかで、文部科学省が毎年発表する学校保健統計では子供の喘息患者数は増え続けています。基準をまだ満たせないPM2.5や増えるナノ粒子がこれの要因となっている可能性があります。ナノ粒子の規制も緊急になすべきことであると考えます。また、大気汚染は改善したとして新たな喘息患者の認定をしようとしない行政には、現実に即した被害者救済を切に求めます。

PM2.5シンポジウムの報告③ 2014.9.15

「深刻なPM2.5汚染 発生源は私たちの身近に」として、東京あおぞら連絡会等の主催で日本教育会館(神保町)で開かれたシンポジウムの概要を報告します。

PM2.5対策と健康被害 — 西村隆雄(東京大気汚染公害裁判弁護団)

東京大気汚染裁判で原告の喘息患者らは、PM2.5の環境基準制定と東京都における成人喘息患者救済制度の復活という2つのものを勝ち取った。救済制度は国、都、自動車メーカ、首都高速の4社の負担で発足したが、発足から5年後の見直しで壊されようとしている。都のみの負担で継続し、新規患者認定の打ち切り、子供患者の18歳時点での助成打ち切り、認定患者の負担増等の議案が9月都議会で審議されている。現在国に対しても制度の継続を求めているが難航している。

 

 

PM2.5シンポジウムの報告② 2014.9.15

「深刻なPM2.5汚染 発生源は私たちの身近に」として、東京あおぞら連絡会等の主催で日本教育会館(神保町)で開かれたシンポジウムの概要を報告します。

万病のもと!PM2.5の健康影響 — 嵯峨井勝(つくば健康生活研究所)

病気の90%以上は活性酸素によって起る。PM2.5やディーゼル排気粒子(DEP)は呼吸器を介して血液中に入って全身を巡り、化学反応や免疫細胞の働きで多量の活性酸素を作る。呼吸器や循環器の病気の他、DEPは認知症や男性の不妊を引き起こすとのデータも出ていて、WHO(世界保健機構)もディーゼル排気ガスを最強の発がん物質と認定した。近年は超微細粒子(ナノ粒子、0.1μm以下の粒子)が増えており、最も有害で規制が必要。NO2などの大気汚染は改善されてきているが、児童の喘息患者数は増え続けている。PM2.5やナノ粒子への監視が必要。

 

PM2.5シンポジウムの報告① 2014.9.15

「深刻なPM2.5汚染 発生源は私たちの身近に」として、東京あおぞら連絡会等の主催で日本教育会館(神保町)で開かれたシンポジウムの概要を報告します。

深刻なPM2.5汚染とその発生源 — 伊瀬洋昭(都立産業技術研究センター)

米国に12年遅れで1997年に日本でPM2.5(粒径がほぼ2.5μm以下の粒子)の環境基準が作られたが、汚染は依然深刻で、2013年度の環境基準達成率は一般局6.7%、自排局は0%。大陸からの越境汚染は、大陸に近い地域では影響を受ける時もあるが、東京など都会では都市汚染が主で、影響の可能性があるという程度。都内でのPM2.5発生源は自動車が1/4、船舶1/5、建設等特殊車が1/8で、自動車排ガス規制の更なる強化と共に、船舶や特殊車の排ガス規制が重要。