- 2014年12月度 NO2測定結果の概要
定例測定日の初日12月4日(木)は雨模様でしたが、有効測定数が市川市内392件、市外 123件で問題なく実施されました。
市川市内測定結果
本年12月度の市内全域と住宅地、沿道地別の平均濃度と測定数を、改良型を用いた過去7年間の12月度の値と共に表1に示します。濃度の推移は図1に示します。
表1 12月度の市内全域と住宅地点、沿道地点のNO2平均濃度(ppm)と測定数の推移
年 度 | 2007 | 2008 | 2009 | 2010 | 2011 | 2012 | 2013 | 2014 | |
全地点 | 平均濃度(ppm) | 0.049 | 0.038 | 0.029 | 0.047 | 0.035 | 0.034 | 0.048 | 0.036 |
測定数 | 338 | 377 | 365 | 338 | 366 | 375 | 387 | 392 | |
住宅地点 | 平均濃度(ppm) | 0.046 | 0.034 | 0.026 | 0.039 | 0.030 | 0.030 | 0.043 | 0.032 |
測定数 | 280 | 274 | 253 | 222 | 245 | 245 | 252 | 254 | |
沿道地点 | 平均濃度(ppm) | 0.064 | 0.050 | 0.037 | 0.062 | 0.045 | 0.041 | 0.057 | 0.043 |
測定数 | 58 | 103 | 112 | 116 | 121 | 130 | 135 | 138 |
図1 市川市内の12月度NO2平均濃度の年度推移
NO2濃度は風速等で大きく変動しますが、今回の定例測定日は、市川市測定局の各局の平均で見ると、周辺の日に比べやや高めの日でした。この時の当会測定のNO2市内平均濃度は図1の通り、昨年の高濃度から転じて、2年前、3年前と同程度の低濃度となりました。市内即定数は、表1の通り12月度としてこれまでの最多数でした。それでは実際にこの時期のNO2濃度はこれまでと比べどう変化しているでしょうか。
図3 市川市大気汚染測定局の12月度測定値に見る 23年間のNO2濃度(ppm)の変化
(市川市環境保全課提供の測定データをもとに作成)
各年度とも12月度定例測定日を挟む24日間の平均濃度(ppm) 一般局:本八幡局と新田局の平均値 自排局:市川局と行徳局の平均値
図3は当会が測定を始めた1992年からの、12月度定例測定日の周辺24日間の、市川市測定局におけるNO2平均濃度の年度毎の変化を示すグラフです。各点は24日間という長期間の平均濃度なので、その時期のNO2濃度をほぼ正しく表していると見られます。グラフが示すように、2000年頃から住宅地(一般局)も沿道地(自排局)も、車の排気ガス規制の強化などにより、2014年度も含めて着実にNO2濃度が低下しています。
市川市地域別のNO2濃度
市川市を図4のように地理的に5地域に分けて、各地域のNO2濃度を見てみましょう。
表2に5地域の住宅地点と沿道地点ごとの平均濃度と測定数を示します。図5は各地域の平均濃度を棒グラフで示したもので、2013年12月度も参考例として載せました。
表2 2014年12月度市内地域別NO2平均濃度(ppm)と測定地点数
市全域 | A.北西部 | B.北東部 | C.中北部 | D.中南部 | E.南部 | ||
全域 | 平均濃度 | 0.036 | 0.035 | 0.033 | 0.034 | 0.044 | 0.033 |
地点数(割合) | 392(100%) | 173(44%) | 39(10%) | 89(23%) | 54(14%) | 37(9%) | |
住宅地 | 平均濃度 | 0.032 | 0.030 | 0.031 | 0.032 | 0.040 | 0.032 |
地点数 | 254 | 109 | 28 | 61 | 28 | 28 | |
沿道地 | 平均濃度 | 0.043 | 0.043 | 0.038 | 0.040 | 0.048 | 0.036 |
地点数 | 138 | 64 | 11 | 28 | 26 | 9 |
住宅地、沿道地とも最も高濃度となったのは D 中南部(JR線以南、江戸川以北)で、松戸街道に接続された外環道国道部の車が流れてくる産業道路と京葉道路による、多量の大型車両に起因すると考えられます。A北西部(北国分、中国分、国府台、国分、曽谷等)は、外環道が接続した松戸街道の多数の大型車により沿道部の濃度は高いですが、2車線なので住宅地は高くなっていません。B北東部(大町、大野、東大野、下貝塚、柏井等)は、大型道路は殆どなく、住宅地、沿道地とも低濃度となっています。C中北部(JR線以北で真間、須和田、宮久保、北方以南)は主に14号線と市川柏線が走り、走行車線が多いため住宅地は北西部よりやや高めです。江戸川以南のE南部は、最も大型車の走行量が多い湾岸道路が走りますが、今回は沿道部の濃度が低く(理由不明)、住宅地沿道地とも低目でした。
図5 2014年12月度市川市内地域別NO2濃度 (2013年12月度も併記)
☆ NO2簡易月間計による外環計画路線の測定を行ないます。
私たちが用いる簡易カプセル(1日計)を開発した天谷和夫先生は、簡易月間計も開発しています。私たちの1年間の試験で、この月間計の正確性が実証されました。これを用いて、建設中の東京外環道路の開通前と後のNO2濃度の測定を計画しました。
NO2簡易月間計 大きさは1日計とほぼ同じで、外筒のアルミ管と内筒のガラス管の2重管です。アルミ管底のフィルターから入った空気はガラス管に入り、上方のろ紙中のNO2吸着剤に吸着されます。このろ紙中のNO2量を1日計と同様に測り、1か月平均濃度を求めます。
外環道路計画路線の測定 松戸市矢切から田尻までの13地点と市の3測定局に取り付け、開通前として4月1日より1年間測定します。開通後は改めて同様に測定する予定です。
☆ あとがき
近くの県道松戸街道では、未明は大型貨物車が連なって走っています。物流が公共交通から自動車輸送になった結果です。トラックのディゼルエンジンは黒煙を出さないクリーンディゼルとなり、今回の報告にもあるように、NO2濃度は減ってきていますが、超微小のナノ粒子は数万倍に増えたと言われます。子供の喘息有症率が増え続けていることと無関係でしょうか。
私たちは未来に対して、「平和」で「健康的」で「持続可能な社会」を残す責任があります。今回の講演会での、道路問題の話合いとナノ粒子の健康被害のお話しはこの第2、第3に関わる問題です。貴重な情報を得て、共に学び考えて行きましょう。
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